先週、AFA(アルゼンチンサッカー協会)へ行って来た。
何のためかというと、AFA PLUSという新システムへの登録だ。
スタジアムでの暴動や殺傷事件が後を絶たないことから、これらの防止や抑止のために考案されたのがAFA PLUS。
これに登録してそのカードを持っていないと、今後はスタジアムに入れなくなる。
しかも対象はサポーターだけでなく、スタジアム職員、場内の売り子、
チームスタッフや選手、プレス、さらには警備の警官まですべてにわたる。
そこで、ホルヘも行って来たのだ。
この登録はAFAだけでなく、1部リーグ20チームの本部でも可能。
まずは身分証明証を係員に提出し、氏名、生年月日、住所などの個人情報がインプットされる。
続いて顔写真の撮影だが、正面だけでなく、斜め右と左、そして上向きと下向きも撮られる。
これは事件が起きた際に、防犯カメラの映像から個人を特定するため。
そして最後は指十本の指紋登録。なんだか、犯罪者にされた気分だ。
スタジアム周辺には二重のチェックゲートが設けられ、中へ入ろうとする者は、全員がここを通らねばならなくなる。
第1ゲートではカードを機械でチェックし、第2ゲートでは指紋照合をする。
アメリカの空港より厳しいくらいだ。
AFA PLUSのもうひとつの特徴は、チケット購入方法。
銀行のATMなどで、観客は会員番号をインプットして料金を支払う。これで完了。
今までのような、紙のチケットは消滅する。第1ゲートのメインコンピューターと接続しているチェックで、
そのカード番号へチケットが売られたかどうか、そしてどのカテゴリーの席かが分かる。
チケットを買っていなければ、このゲートは通過できない。
この新しいチケット方式は、紙を使わないのでエコに役立つ。
しかし真の目的は、偽造チケットやダフ屋行為を締め出すこと。
スーペルクラシコのチケットは10倍以上の値段になるし、
ひどいときにはダフ屋がスポーツ新聞に広告を出していた。
一般人は並んでも入手困難なのに、発売前からクラブの人間が大量に横流しをする。
偽造やダフ屋はバラブラバの収入源となっている。
本来は熱狂サポーターであった彼らも、最近はあまりの悪質ぶりに、
「バラブラバはサポーターでなく犯罪者」というのが社会的な認識。
AFAも彼らの存在には頭を悩ませていたが、このAFA PLUSで入場規制や資金源を断つことができるというわけだ。
しかし、プレスのホルヘをはじめ一般のサポーターまでが、煩雑な手続きに巻き込まれるのは大迷惑。
たかがサッカーの観戦にここまでしなければならないというのは、病んでいると言っていいだろう。