先週の土曜日、在亜日本人会会館でバザーが行われた。
この会館はセントロの外れで、タンゴで有名なサンテルモ地区のすぐ近くにある。
普段は空手、柔道、生け花、日本語などのスポーツやカルチャーの教室が開かれている。
またこの会館には日本レストランもある。
以前は日本人会という公的団体の直営だったため、利益を追求せず税金面でも優遇されていたので安かった。
しかし現在は民間に委託され、他のレストランと同じく高くなった。
10年以上前だと思うが、ここでにぎり寿司の並を食べたことがある。
特に食べたくもなかったのだが、どんなものが出てくるか興味があった。
すると運ばれてきたのは、玉子以外は全部白いネタだった。
イカが2貫とあとは全部白身魚。
サーモンは高いので、並みには入っていない。
「これは何だ」と指をさして訊くと、「ヒラメだ」という。
「じゃあこれは」と尋ねると、「ヒラメの小さいやつ」という。カレイのことらしい。
そして別のネタを指し、「これはヒラメの大きいやつ」だという。ヒラメの大きいのって、オヒョウのことか?
そしてネタの種類はこれだけ。
魚はすべてヒラメ一族だった。
しかし後年魚屋に行くようになっても、カレイやオヒョウを見たことがない。
どうやらあれは、本当にヒラメの大中小だったようだ。
バザーでは日本的な製品や食べ物が売られ、来場者は800人を上回ったそうだ。
このようなバザーやフェスティバルは、各地の日本人会や県人会でも開催される。
中でもブルサコ日本人会のバザーは、クジ(有料)の特賞が自動車なので人気が高い。
日本人会は、ブルサコ、フロレンシオバレーラ、ラプラタなど日系人の多い地域ごとにいくつかある。
在亜日本人会は、そうした地方の日本人会の総元締め、
つまり都道府県サッカー協会に対する日本サッカー協会のようなものだと思われるかもしれないが、実は違う。
以前は確かにそうだったのだが、内紛によって地方日本人会が脱退し独立組織になった。
したがって現在の在亜日本人会は、傘下をもたない一組織。
実態はブエノスアイレス市日本人会なのだ。
実態がそうなのだから、名称もそのように変えるべきという意見もあったようだが、
歴史のある名前を捨てるのは忍びないということで、今でも従来の名称を名乗っている。