リーベルのドノフリオ会長が、「ボカとリーベルの共用スタジアム建設についてマクリ大統領と話した」と公表し話題となっている。
 
 
ボカは約49000人収容の通称ボンボネーラ、リーベルは約67000人収容のモヌメンタルという立派なスタジアムを持っているが、ともに問題を抱えている。
ボカのそれはキャパ不足。
試合は常に満員で、本来は無料で入れるソシオを制限しなくてはならず、現在は正会員の募集をストップしている状況。
そしてリーベルは築80年の老朽化に苦しんでいる。
 
 
両クラブとも新スタジアム建設に向けて動いており、用地の選定などはすでに行われている。
世界的ビッグクラブを自負しているため、建てるとなれば半端なものは造れない。
となると、建設費や維持費も莫大なものとなる。
そこでドノフリオ会長は、ボカの元会長だったマクリ大統領に共有スタジアム構想を持ち掛けたのだ。
雑談の中で少し交わしただけということだが、「(大統領は)ノーとはいわなかった」と語り、世論をその方向にリードしようとしている。
 
 
建設費、維持費の折半は最大の魅力だが、共有は保全にも効果がある。
現在、アルゼンチンではアウェイサポーターの入場が禁止されているが、いつまでも続くことではなくやがて解禁される。
アウェイのサポーターというのは、自分のクラブが負けると暴徒化してスタジアムの破壊に走ることが多々ある。
スタンドの座席やトイレの便器など壊せるものを次々と壊し、ときには火を放つ。
リーベルのスタジアムはボカとのスーペルクラシコでたびたび被害に遭い、補修費用もかなりの額となっている。
しかしこれが共有スタジアムなら、こうした暴動はほぼ起きないはずだ。
 
 
パラグアイのクラシコ、オリンピア対セロ・ポルテーニョは、国立のデフェンソーレス・デル・チャコスタジアムで行われる。
キャパを優先して、国内最大スタジアムを使用する。
そして、どちらのホームゲームであろうとも、サポーターのスタンドは固定制。
ホームは右側、アウェイは左側と変わることはない。
このスタジアムは共用でなく国立の中立だが、いつも同じ場所に陣取るとサポーターはそこに愛着を感じるようになる。
代表の試合でも、オリンピアサポーターとセロサポーターは、自分たちのいつもの席に分かれて座って応援している。
もちろん、自分たちの場所を破壊することもない。
 
 
このようにスタジアムを共有することはクラブにとってメリットが多いものの、サポーターには別の思いがある。
応援するクラブのスタジアムは神聖な場所であり唯一の存在と考える。
遺言に従い、故人の遺灰をモヌメンタルのピッチに撒こうとして不法侵入で捕まったという話を聞いたことがある。
リーベルファンの故人は、スタジアムの土となって未来永劫クラブとともにありたかったのだ。
ボカファンの中にも、「あそこにあるからこそボンボネーラだ」と移転反対派がいる。
そうした人々にとって、ライバルとのスタジアム共有などとんでもない話以外の何物でもない。
 
 
オレ紙電子版がこの件でアンケートを行ったところ、共有構想に賛成が22%、反対78%だった。
大差には違いないものの、実はもっと差が開くと思っていたので意外だった。
これはひょっとすると、カントリーリスク問題が影響したのかもしれない。
カントリーリスクというのは、主に経済的な各国の評価。
国債の購入や投資に際して重要な情報となる。
 
 
スタジアム共用の話と時期を同じくして、アルゼンチンの評価が急激悪化。
連日リスク評価が増加し、1000ポイントを超える勢いとなっている。
これはドルに対するペソの下落が主な原因で、1ドル=42~3ペソだったものが一時47に達した。
カントリーリスクが上がると国の信用が下がり投資が控えられる。
株式市場でも売りが殺到し株価は軒並みダウン。
 
 
ニュースではこの問題を大きく取り上げているので、これによって経済的なスタジアム共有構想の支持者が増えた可能性がある。